「KDDI」が「ビッグローブ(BIGLOBE)」を買収!?
どうやら本決まりの様子ですね。
2016年12月6日、auひかりを運営する「KDDI」が大手プロバイダの「ビッグローブ(BIGLOBE)」を買収する方向で交渉を進めているとニュースが大々的に報じられました。さらに、KDDIは「ニフティ」の買収も検討しているとのこと。
後日、2017年1月末を持ってビッグローブを完全にKDDIの子会社化するとのアナウンスが発表されました。
NECのビッグローブと富士通のニフティといえば、どちらもインターネットを牽引してきた大手プロバイダでしたが、まさかこのようなことになるとは。一つの時代の終焉といったところでしょうか。
まあ、終わってしまったものはしょうがないとして。
KDDIがこの2社を買収することで光回線業界、特にauひかりにどういった影響があるのかを考えてみましょう。
ビッグローブ(BIGLOBE)はこんな会社
auひかりが契約できるプロバイダ7社の中でも、ビッグローブはトップクラスのキャッシュバックを打ち出している人気プロバイダ業者です。
日本の大手電気メーカー「日本電気」を中心としたNECグループのプロバイダ事業を永い間安定して運営してきたプロバイダ業界では老舗中の老舗ですが、母体のNECの営業方針の転換から売却される事になりました。
■BIGLOBEの代表的な事業
- BIGLOBE:インターネット等のネットワークを利用した情報サービスの提供、他。
- ビッグローブ光:フレッツ光回線を使用した光インターネット接続サービス。いわゆる光コラボ。
- BIGLOBE SIM:ドコモ回線を使った格安SIM、格安スマホ。
- BIGLOBE スマホ:格安スマホとネット回線のセット割。
インターネット端末の主流がパソコンからスマホへと移行する時代の流れの中で伸び悩んでいたとはいえ、今でもBIGLOBEは200万人を超える会員数を誇る業界上位の大手プロバイダであり、売却先次第では大きな業界再編が起こるかもしれないと注目されていました。
そこに買収の名乗りを上げたのがauひかりを擁するKDDIです。
auひかりはプロバイダ業界第2位へ!
光インターネット回線接続事業ランキング(MM総研調べ:2016年)
1位 | OCN(NTTコミュニケーションズ) | 22.7% |
2位 | YahooBB(SOFTBANK) | 11.5% |
3位 | So-net | 8.9% |
4位 | ビッグローブ(BIGLOBE) | 8.6% |
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7位 | au one net(KDDI) | 4.6% |
8位 | ニフティ | 3.6% |
見ての通り、光回線のプロバイダ業界は、1位はシェア率No1ながら伸び悩んでいるNTT系列のOCN、2位は勢力を拡大中のソフトバンク光を含むYahoo!BB、3位は大手電機メーカーSONYが母体のSo-net、4位は問題のビッグローブとなっています。
あれ、KDDIは?
auスマホやauひかりの知名度からすると意外に思うかもしれませんが、KDDI独自プロバイダ「au one net」に限ればそのシェアは業界第7位に過ぎません。意外にもネットユーザーに対する独自の基盤が弱いのです。
しかし、KDDIがビッグローブを子会社化すればシェアは8.6+4.6=13.2%と、なんとソフトバンクまでを一気にごぼう抜き!業界第2位へと踊りだすのです。ニフティも加われば、シェア率は16.8%、ソフトバンクを引き離してNTTへ迫る勢いです。
話はシェア率に留まりません。
KDDIの運営するauひかりは比較的若い世代に人気がある分、高い年齢層の顧客基盤が弱いと言われていました。
一方、プロバイダの老舗として長い歴史を持つ「ビッグローブ」と「ニフティ」は高齢層の顧客基盤を有しています。
この両者を買収に成功すれば、KDDIは新たな顧客層を獲得し、より強固で安定した顧客基盤を獲得し、多角的な展開を期待できるようになります。
また、KDDIは、「UQ mobile」を通じて、独自にKDDI回線を用いた格安スマホ事業を展開しています。
そこに、もともとNTTグループとかかわりの深く、NTTドコモの回線を用いた格安スマホ事業を展開しているビッグローブを獲得することで、こちらの事業も大きく拡大するであろう事は容易に想像がつきます。
auひかりへの影響
KDDIは自社が運営する au one net をauひかり対応プロバイダとして展開してきましたが、他のプロバイダと比較して大きなキャッシュバック等の特典があるわけではありません。auひかりが契約できる7社のプロバイダは料金も速度も大きな違いはなく、キャッシュバックの多い大手プロバイダがシェアの多くを占めているのが現状です。
しかし、auひかりのプロバイダの中でも人気もキャッシュバックもトップクラスのビッグローブを買収・子会社化することで、より複合的な新しいサービスやもっとお得なキャッシュバック特典等々の展開が望める事になるでしょう。
また、独自回線での事業を展開してきたKDDIが、ビッグローブやニフティといったフレッツ光やドコモ回線への足がかりを手に入れることで、今までではありえなかったようなセット割等のサービスが実施されるかもしれません。
さらに、強固になった顧客ネットワークを利用して、auひかりを軸に、携帯電話や電力の小売、保険商品の販売、TVや動画コンテンツ、ネットショッピングなどのKDDI独自のサービスがより多方面に連携・拡大していくものと予想されます。
まとめ
この買収・子会社化でネット回線・プロバイダ業界の再編は加速し、群雄割拠から三強の時代へと変貌していくことになります。
今後の動向はもとより、au(KDDI)がこのビッグローブ買収・子会社化をネット接続事業の強化にどう活用していくのか、auユーザーばかりでなく、ネットユーザーの全てが活目する必要があるといえるでしょう。